【読書感想】『愛するということ』|フロムが教えてくれた「愛とは決意であり、技術である」

読書

この本を読んだきっかけ

最近、家族やパートナー、友人との距離感にモヤモヤすることが増えていました。
そんなとき、本屋で偶然目にしたフレーズ。

「愛は才能じゃない。技術だ。」

その言葉の出典が、エーリッヒ・フロムの『愛するということ』。
「愛って、学べるものなの?」と驚きつつも、今の自分に必要だと感じて手に取りました。

本の概要・要約(全4章)

日本語版の本書は全4章で構成されています。
哲学でも自己啓発でもない、でもどこか“人生のマニュアル”のような深みがあります。

第1章:愛は技術か

本書の入口で、フロムはこう喝破します。

「多くの人は、愛される方法ばかり考えている」

見た目、収入、地位、ユーモア…
「交換価値の高い人間」になれば愛されると信じている現代人に対し、彼は問います。

“そもそも、あなたは愛することを学んできましたか?”

愛は「感情」ではなく「技術」──
つまり、訓練によって育てるものであり、集中・忍耐・関心が必要なものなのだと。

愛するということ

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第2章:愛の理論

人間は、孤独に耐えられない存在。
そこから逃れようと、酒・ドラッグ・セックス・信仰・仕事などに走る。

社会に生きる人間が選ぶ解決方法は、酒や麻薬に溺れることだ。

孤立感から逃れようとして酒や麻薬に逃避してきた人間は、興奮状態がすぎるといっそう孤立感が深まり、ますます酒や麻薬の助けを借りる羽目になる。

セックスも、愛のないセックスはより孤立感を深めてしまうことになる。

ニットなりの考えをまとめると、

「人はひとりぼっちの不安をなくすために、昔から“みんなと同じようにする”ことで安心感を得てきた」という解釈に辿り着きました。

さらにフロムは「愛にはいくつかの形がある」として、親子愛、兄弟愛(友愛)、恋愛などを紹介。
中でも印象的だったのは、母性愛と父性愛の違い。
• 母性愛:無条件に存在を肯定する愛
• 父性愛:努力や規律に対して与えられる、条件付きの愛

この2つのバランスが人の成長に深く関わる、という視点は、親としてもすごく考えさせられました。

第3章:愛の崩壊                                        

現代社会では、恋愛や結婚すら「市場の交換原理」で動いている。
“自分にとってコスパのいい相手”を探す行動こそが、恋だと思っている節さえある。

その結果、愛はすり減り、形だけ残って中身が空っぽになる。
SNSでの承認欲求、条件で選ばれるパートナー、機能性重視の家族──
どこかで「本質からズレてる」ことに、私たちはうすうす気づいているのかもしれません。

第4章:愛の習練

最後に語られるのは、「じゃあ、どうやって愛を実践していくのか?」

愛するには──
• 集中力:相手に心を向け続ける力
• 規律:怠けないこと、逃げないこと
• 忍耐:結果をすぐに求めない姿勢
• 謙虚さ:自分の未熟さを認め、学び続ける意志

…という、地味だけど本質的な要素が必要。

特に印象的だったのはこの一文:

「誰かを愛するとは、感情ではなく“決意・約束・行動”である」

心に残ったフレーズと体験との重なり

「恋に落ちるのは簡単。でも、愛し続けるには努力がいる」

この言葉がすべてを物語っている気がしました。

今まで私は、「気が合う人と自然に愛し合える」と信じていたけど、
実際には、怒りや不満、すれ違いが起こるたびに“愛すること”から逃げていたのかもしれません。

そしてもうひとつ。

「本当に愛情深い母親とは、子どもが離れていくのを喜べる人である」

娘が成長して自立することは嬉しい。でもどこかで「まだそばにいてほしい」と思ってしまう自分もいる。
でも、その“手放す愛”こそが、真の母性愛なんだと感じました。

読んで得た気づき・変化


• 愛は「上手にやる」ものではなく、「学び続ける」もの
• 相手に何かを期待するより、自分から愛する姿勢が大事
• 家族やパートナーとの関係を“育てるもの”として捉え直すようになった
• 「わかってくれない」ではなく、「わかろうとできているか?」と自分に問えるようになった

この本をおすすめしたい人


• 恋愛・家族関係がうまくいかず悩んでいる人
• 「もっと愛されたい」と感じている人
• 子育てに不安を感じている親御さん
• 愛とは何か?を人生で一度ちゃんと考えてみたい人

逆に、「すぐに使える恋愛テク」や「相手を動かす方法」を求めている人には向かないかもしれません。
この本は、答えではなく「問い」をくれる本です。

まとめ:愛することは、学び続ける選択

『愛するということ』を読み終えて思ったのは──

「愛される」ことより、「愛する」ことを人生の中心に置きたいという気持ちでした。

決意、努力、学び、そして受け入れる心。
それらを積み重ねていくことこそが、愛の実践なのかもしれません。

また何かにつまずいたとき、この本を開いて、自分の“愛する力”を見直してみようと思います。

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書籍情報
タイトル: 愛するということ
著者: エーリッヒ・フロム
出版社: 紀伊國屋書店

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