旅の合間に“考える力”を取り戻す時間
9月は旅が続いた月でした。
移動の時間やホテルのロビー、カフェの静けさの中で、
普段ならスマートフォンを眺めて終わってしまうような時間が、いつの間にか読書の時間へと変わっていました。
移動中に本を読むと、頭がすっとクリアになり、
日常よりも深く内容と向き合えるように感じます。
今回は、そんな旅先で読んだ5冊の中から、特に心に残った本をご紹介いたします。

『頭に来てもアホとは戦うな!賢者の反撃編』田村耕太郎
本書で印象に残ったのは、「怒りに支配される人ほど、人生を浪費する」という一節でした。
相手を論破しても何も残らず、むしろエネルギーを奪われてしまう。
怒りに反応するのではなく、一歩引いて“観察する側”に回ることが、結果的に賢い反撃につながるという考え方が響きました。
旅先で予定が崩れたり、想定外の出来事があったときも、この言葉を思い出し、冷静に受け止めるようにしています。
「戦わない強さ」を持つことが、人生に余白を生むのだと感じさせてくれる一冊です。
頭に来てもアホとは戦うな!賢者の反撃編

『具体と抽象』細谷功
世界の見え方を“もう一段上”から捉えるための思考法を教えてくれる本です。
「抽象」と「具体」を行き来できる人ほど、問題を整理し、柔軟に行動できる。
仕事の課題も、旅の計画も、抽象的な目的(なぜ行くのか)と具体的な行動(何をするのか)の往復が大切だと実感しました。
読後は、物事に迷ったときに「今、自分はどの視点で考えているのだろう」と一呼吸おけるようになりました。
思考が整理されると、行動にも無駄がなくなる――旅も人生も同じだと感じます。
具体と抽象

『人は話し方が9割』永松茂久
人間関係に必要なのは、「話す力」ではなく「伝わる力」。
この本を読んでからは、言葉を並べるよりも、相手の表情をよく見るようになりました。
“相手が心を開いてくれる一言”は、論理ではなく安心感から生まれるという言葉が印象的です。
旅先で出会った人との会話でも、「どう話すか」より「どう感じてもらうか」を意識するようになりました。
言葉は道具ではなく、関係を温める“温度”なのだと教えてくれる一冊です。
人は話し方が9割

『頭のいい人が話す前に考えていること』安達裕哉
本書が伝えるのは、「言葉を整える前に、思考を整える」ことの大切さです。
つい場の流れで話してしまうことがありますが、伝わる人ほど“何を伝えたいか”を明確にしています。
沈黙を恐れず、考える時間を取ることが、結果として信頼につながる。
旅の中でも意見を求められたとき、すぐに答えず一拍置くようにしてみると、
不思議と会話が落ち着き、相手との距離が近づく感覚がありました。
急がず、整えてから話すこと――それが本当の「伝える力」なのだと思います。
頭のいい人が話す前に考えていること

『移動する人はうまくいく』長倉顕太
タイトル通り、“動く人は運をつかむ”というメッセージが貫かれた一冊です。
環境を変えることが、自分を更新する最もシンプルな方法だと語られています。
特に印象的だったのは、「人は場所で変わる」という言葉。
同じ景色に留まると、思考も行動もパターン化してしまう。
だからこそ、旅や移動は“思考のデトックス”になるのだと実感しました。
実際に旅を重ねるごとに、視野が広がり、新しい発想も生まれる。
読後は、「移動」が目的ではなく、“再起動の儀式”のように感じるようになりました。
移動する人はうまくいく

まとめ
9月は、旅と読書が重なり合うような月でした。
ホテルのロビーで読んだページ、飛行機の中で書き留めたメモ。
どの本にも共通していたのは、「行動」「思考」「伝え方」をどう磨くかというテーマでした。
本を読むことは、誰かの人生を一瞬だけ借りて、自分をチューニングする行為のように思います。
旅先の静かな時間に、自分の中の“ノイズ”が少しずつ消えていく感覚がありました。
そして、次の目的地が決まっていなくても、また動きたくなる。
読書と旅は、どちらも“人生の再起動ボタン”なのだと改めて感じました。
次回予告:
次回は「夢・お金・人生」をテーマにした4冊をご紹介いたします。
西野亮廣さんの『夢と金』から、森岡毅さんの『苦しかったときの話をしようか』まで。
9月の“教養読書・後編”としてお届けいたします。


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